「忘れる女、忘れられる女」酒井順子著

公開日: 更新日:

 週刊誌の連載人気エッセーの書籍化。

 ある日、バスの中でおばあさんがおばあさんに席を譲る場面に遭遇。そこに日本の近未来の姿をみたような気がしたという著者は、寿命が延びたといってもそれは若い時間が延びるわけでなく、おじいさんなりおばあさんなりでいる時間が長期化するということだと悟る。未来の日本は、年寄りで満員のバスのようなもので、高齢者だからとシルバーシートに座っていられるわけではないと、やがて自分も仲間入りする生々しい老老社会について夢想する。

 そのほか、自分と同じ「子ナシ独身」女性知事誕生への思いや、スキャンダルが発覚して謝罪する人たちの髪形など。身近な日常の断片や世の中の話題を俎上に時代を切り取る。

(講談社 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」