「国会議員基礎テスト」黒野伸一著

公開日: 更新日:

 行政、司法、立法といえば、国家の屋台骨だ。行政職に就くには超難関の国家公務員試験に合格する必要がある。

 同じく司法をつかさどる、裁判官、検事、弁護士には司法試験が待ち構えている。しかし、立法はといえば、人気投票というのがその実態。テレビに出ている有名人、政治家の子弟であれば、なれてしまう。

 政治不信の本質は政治家不信にほかならず、政治家にもその資格を問う資格試験が必要じゃないかと問いかけた政治エンターテインメント小説。

 不倫騒ぎを起こした3世議員・黒部はテレビが企画した国会議員資格検定試験に落第、辞職。その補欠選挙に秘書であった橋本が当選。国会議員基礎テスト法成立に邁進するが、自らの首を絞めるような法案に賛成する政治家など与党内にはいない。

 民主主義の本質を問う痛快無比な一作。(小学館 1600円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝