景気循環 2024年に日本経済は復活する!?

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「第3の超景気」嶋中雄二著/日本経済新聞出版社

 最近は景気循環論を唱えるエコノミストが、すっかり減ってしまった。そのなかで孤軍奮闘し、いまや日本の景気循環論の絶対的エースとなったのが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏だ。その嶋中氏が、久しぶりに上梓した単著が本書である。

 景気循環は、農業中心時代の遺物だと酷評するエコノミストもいるが、私はそうは思わない。好況、不況は確実に存在し、それは我々の生活に大きな影響を及ぼしている。そして、景気循環論の最大のメリットは、将来が予測できるということだ。

 景気循環は、短期のキッチンサイクル、中期のジュグラーサイクル、長期のクズネッツサイクル、超長期のコンドラチェフサイクルが存在し、それぞれ、5年、10年、26年、56年の周期で変動している。本書によると、4つの景気の波が同時に上昇過程に入る「ゴールデンサイクル」が、6年後の2024年にやってくるので、そこで日本経済が復活するというのだ。2025年の大阪万博、2027年のリニア中央新幹線開通に向けて、日本経済が活況を呈するだろうというのが著者の予測だ。

 そうかもしれない。ただ、私が気になったのは、もっと近くの未来だ。ジュグラーサイクルは、今年ピークアウトし、キッチンサイクルも来年ピークアウトする。著者の見方は、オリンピック特需があるので、日本経済が深刻な不況に入るのは、2021年からというものだが、そうだろうか。

 私の理解は、「いまでも景気循環は厳然として存在しているが、経済政策やアクシデントによって、波動は大きく乱れる」というものだ。

 来年後半は、中期循環と短期循環がともに下降する非常に厳しい経済環境だ。そんな時期に消費税率の10%への増税をぶつけたら、経済が失速してしまうのは明らかだ。北京オリンピックの時も、開催前年にバブルは崩壊している。来年、とてつもない不況がやってくる可能性は、否定できないだろう。

 いずれにせよ、本書には景気循環の理論と豊富なデータ、時代を彩ってきた技術などが、きちんと整理されていて分かりやすい。近未来を見通すために、重要な指針を与えてくれる好著だ。 ★★半(森永卓郎)

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