「教誨師」堀川惠子著
死刑囚と対話を重ね、執行にも立ち会う教誨師を半世紀も続けてきた渡邉普相氏への聞き語り集。
広島生まれの氏は、東京の浄土真宗の寺・當光寺に婿入りし、副住職となる。その寺で出会った福岡の僧侶、篠田に導かれ、28歳で教誨師に着任。教誨師は無報酬のボランティアで、その任の重さから氏ほど長年、続けてきた人はいないという。
一杯の酒が飲みたいがために看守を殺して脱走し死刑宣告された山本勝美(仮名)、教誨室で刑に問われた以外の3件もの殺人を告白した連続殺人犯・白木雄一(同)、「お母さん、お母さん」と叫んで暴れ、刑務官によって強引に刑に処された横田和男(同)など。本人の死後に出版するとの条件で語られた死刑囚との最期の日々を克明に記す。
(講談社 720円+税)