「結婚奉行」辻井南青紀著
旗本御家人の家で養子縁組や持参金などが横行。金次第で結婚相手を決める悪習を廃するため、火盗改同心だった新十郎は、「結婚奉行」に任じられる。さっそく大番組頭の有馬家の一人娘・千世から相談事が持ち込まれた。祝言の朝、こつぜんと姿を消した花婿の藤蔵を捜して欲しいというのだ。
藤蔵は寺嶋道場の跡取りだった。呼び出した道場の当主に話を聞くと、遠い親戚筋にあたる藤蔵とは元服まで会ったことはなかったが、剣の素質と人柄を見て養子縁組を決めたという。藤蔵の出身である東国の外様藩に人を送るが、親戚だという藩士を見つけることができなかった。(「消えた花婿」)
真面目一筋、猪突猛進の新十郎が、妻や友人らの助けを借りて武家の婚活を助ける時代連作集。
(新潮社 590円+税)