「獣でなぜ悪い」園子温著
吉高由里子や満島ひかりを見いだした映画監督による自由論。
若手女優に壁を突破させた作品で高い評価を得てきた著者は、アイドルなど若くてかわいい女性にしか需要がない最近の日本は保守的で「息苦しい」と批判する。対して、哲学者シモーヌ・ヴェイユから京マチ子、歌手のビヨンセやアデルまで、古今東西の魅力的な女性像を多数紹介。魅力の核となるのは他人と違う中身、生きざまの美しさであり、自由で力強い女性こそセクシーだという。
自分たちを不自由にする「透明な檻」に気づいてさえいない男性に比べて、女性は自覚的だそう。誰もが自由を謳歌するために、人生をどう闘うべきか。自身の生い立ちや影響を受けた文学作品、映画の撮影秘話なども交えながら、縦横無尽に語り尽くす。
(文藝春秋 1200円+税)