「芸は人なり、人生は笑いあり」桂歌丸著

公開日: 更新日:

 今月2日に81歳で死去した落語家・桂歌丸が、ここ数年の高座の中からお気に入りの演目を厳選して収めた歌丸ばなしシリーズ第2弾。

 収録されているのは、「後生鰻」「小間物屋政談」「ねずみ」などの名演8席。「ようこそおいでをいただきまして、どうぞごゆっくりとお遊びのほどお願い申し上げます」などの口上から始まる歌丸落語が、思う存分楽しめる。

 最近の高座ということもあって、酸素吸入の管をつけ、舞台の袖から座布団まで歩くことさえ困難ななかで軽妙に始まる、枕の見事さにも舌を巻く。演目が終わるごとに「噺のはなし」という解説つき。落語の由来や、高座にかけるにあたっての歌丸ならではの工夫やエピソードなどが語られており、落語に詳しくない人にとってもわかりやすい。ページをめくるごとに、一生を懸けて磨き上げた落語の芸の素晴らしさを感じること必至。もう生では聞くことのできないあの口調や間合いが、活字の中から立ち上ってくる。

(ポプラ社 1200円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ