「競馬妄想辞典」乗峯栄一著
2001年の天皇賞(春)のとき、タガジョーノーブルに乗る福永祐一は「前走阪神大賞典のときは、逃げ馬に乗るときにやらなアカンことをつい忘れていた」と言った。福永は「殺人的ペースで逃げる」といつになく過激な言葉を吐いていた。天皇賞には1年ぶりに「逃げの大家」セイウンスカイが出るので牽制したのか。「やらなアカンこと」とは「アナウンス」だ。このときの福永は「キンシャサの奇跡」のときのモハメド・アリの域に達していた。
3年のブランクの後、ジョージ・フォアマンに挑戦したアリは「フォアマンはでかいミイラ男にすぎん」などとしゃべりまくった。そしてダウン寸前に4発ほど打っただけでフォアマンを倒したのだ。(「キンシャサの奇跡」)
競馬をより楽しくしてくれる77のコラムを収録。
(あおぞら書房 1600円+税)