• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

「VRは脳をどう変えるか?」ジェレミー・ベイレンソン著、倉田幸信訳

 ゲームなどで使われ始めたVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)。映像メディアの延長で、遊びをより面白くするものというイメージが強いが、ジェレミー・ベイレンソン著、倉田幸信訳「VRは脳をどう変えるか?」(文藝春秋 2200円+税)を読めば、それが単なるエンターテインメントでないことに驚かされる。

 最新の研究では、VRは人間にとってメディア経験ではなく、強烈な経験そのものであり、脳も体もVRによって起こる出来事を本物と認識してしまうことが分かっているという。この特性を生かし、VRは医療の世界でも活用され始めている。

 例えば、PTSDの治療だ。アメリカでは同時多発テロから10年が経過した2011年時点でも、PTSD患者は1万人以上と推定されていた。そこで、仮想空間にニューヨークの街を再現し、かつての姿を残したワールドトレードセンターの見える場所に患者を送り込む治療が行われた。

 PTSDの治療には、トラウマ体験を正確に再現して直面させる「暴露療法」と、トラウマの受け止め方を修正する「認知行動療法」を同時に行うことが重要とされる。

 ところが、多くの人はトラウマ体験を封じ込め、心に深い傷を与えた出来事を思い出せない。そこでVRを用いれば、忘れていた記憶も鮮明に蘇らせ、トラウマの根本を探ることが可能。今では、退役軍人のPTSD治療にもVRが用いられ、すでに2000人以上の治療に役立てられているという。

 VRの活用が進む一方、長時間の使用で現実との区別がつかなくなり混乱を来すなどの報告もある。インパクトが強い分、危険性の研究も進むべきだろう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    沖縄県知事選で“黒歴史”隠し 佐喜真候補にもう一つの疑惑

  2. 2

    “元彼”と同時引退? 幻に消えた安室奈美恵の「再婚」報道

  3. 3

    吉澤ひとみの逮捕で…「元モー娘。」相次ぐ謝罪の違和感

  4. 4

    花田家は崩壊寸前…貴乃花親方は協会批判し妻は見舞い拒否

  5. 5

    安倍自民がブチあげ「省庁再々編」は国民ダマしの常套手段

  6. 6

    安倍首相が総裁選で獲得 地方票「55%」の怪しいカラクリ

  7. 7

    崩れた圧勝皮算用 安倍3選という「終わりの始まり」<上>

  8. 8

    フィギュアスケート日野龍樹さんの好物は目玉焼きのせご飯

  9. 9

    森友裁判で新展開 近畿財務局の前総務部長が法廷で証言へ

  10. 10

    追悼・樹木希林さん 貫いた“奇妙な夫婦愛”と“ドケチ伝説”

もっと見る