「脳をだませばやせられる」ステファン・J・ギエネ著、野中香方子訳

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 食事制限によるダイエットを実行できる人はごくわずか。それは5億年以上かけて進化してきた脳という情報処理機関が、人間の摂食行動を支配しているためだと断言するのが、ステファン・J・ギエネ著「脳をだませばやせられる」(野中香方子訳 ダイヤモンド社 1600円)。肥満と神経生物学研究の第一人者が、脳に備わった“太りたがる”性質を解説している。

 人間の脳には価値ある食べ物を選別する能力が備わっているという。それは、脂肪と糖、塩分という、現代では控えるべきとされているものばかり。脳の大脳基底核の働きにより、これらを渇望し、好んで食べる習慣を身に付けるようにできているそうだ。

 さらに、脳の視床下部には脂肪や糖などの摂取量に比例して、体脂肪を減らさないようにするリポスタシスというシステムが備わっている。そのため、太った人ほど体脂肪を維持するために食べる量が増え、意志の力で食べる量を減らしても、脳に邪魔されて結局は食べてしまう。

 これらの脳のシステムは、食べ物を得ることが難しかった太古の時代につくられたもの。摂食行動が脳に支配されているのなら、食事制限というダイエット法がどれほど難しいかが分かってくる。しかし、現代の英知をもってすれば、脳をだますことも可能だと本書。

 たとえば、肉や乳製品、アボカドなどは脂質を多く含むが、カロリー密度(1グラム当たりのカロリー)は低いため、脳に満腹であると感じさせながら体重減少を図ることが可能。あるいは、調理をしないと食べられないものばかりを揃えておくと、摂食行動の障壁となり、過食を抑える効果が絶大なのだという。

 ダイエットのカギは脳にあるのだ。

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