「やっぱり食いしん坊な歳時記」辰巳琢郎著

公開日: 更新日:

 今まででいちばんおいしかったものはと聞かれて、辰巳は「炊きたてのごはん」と答えた。人生の最後に食べたいものはと聞かれると、「真っ白いごはんに香り高い焙じ茶をかけたお茶漬け」。

 昭和1桁生まれの辰巳の両親は、「お百姓さんに申し訳ない」と、一粒たりともご飯粒を残すことを許さなかった。だが、ようやく箸を使えるようになった子どもには無理な命令だ。そこで父は、お茶をかけてすすることを勧めた。その習性はいまだに抜けず、フルコースを食べたときも最後は白いごはんと鮭ハラスでお茶漬けにして締める。(「新米の季節に思う」)

 ほかに「きゅうりチャーハン」など、食いしん坊で知られる著者が忘れがたい味をつづったエッセー。

 (集英社 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  3. 3

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  4. 4

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  5. 5

    ドジャース大谷が佐々木朗希への「痛烈な皮肉」を体現…耳の痛い“フォア・ザ・チーム”の発言も

  1. 6

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  2. 7

    高市早苗氏は大焦り? コバホークこと小林鷹之氏が総裁選出馬に出馬意向で自民保守陣営は“分裂”不可避

  3. 8

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった

  4. 9

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い

  5. 10

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督