「医師が診た核の傷」広岩近広著

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 1945年8月6日、トルーマンは広島に原爆を投下したと声明を発表した。東郷茂徳外相の問い合わせに、陸軍は、非常に強力な普通の爆弾のようだと答え、原爆だと認めなかった。

 だが、大本営調査団に加わって広島に向かった物理学の権威、仁科芳雄博士は、科学的なデータと空から一望した広島の様子から、原爆だと断定。陸軍から「赤痢患者が出ている」といわれて広島で治療に当たった医師は、症状は赤痢に似ているが新型爆弾の影響ではないかとの疑いをもつ。他の医師たちも、脱毛、吐血、斑点などの症状の末に悶死する多くの被爆者を前にして、なす術がなかった。そして今、福島の子供たちや原発の作業労働者は被曝の恐怖にさらされている。医師による核の被害の告発の書。

(藤原書店 2200円+税)

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