「歪んだ波紋」塩田武士著

公開日: 更新日:

 5つの短編からなる連作集。冒頭は「黒い依頼」。地方紙の中堅記者・沢村は、デスクからひき逃げ事件の犯行車両が被害者の遺族宅にあるとの情報を得たので調べるよう頼まれ、被害者宅に赴く。被害者の妻に車のことを質すが、強い怒りで否定される。妻の証言にウソはないと直感した沢村は、独自に調査するうちに自社の調査報道班の情報に疑問を抱く……。

 続く「共犯者」は、元全国紙の新聞記者・相賀が自殺したかつての同僚・垣内の遺品整理をするところから始まる。残された取材ノートから、垣内が33年前に関わった事件を最後まで追っていたことを知る。しかもそれが最近起きたある女性の焼死事件と関わりがあることを突き止める……。

 以下、法曹・警察・メディアの癒着を描く「ゼロの影」、テレビ界のセクハラでっち上げを扱った「Dの微笑」と続き、最後の表題作で、これまでの4つの短編が1つに収斂していく。

 全編を貫くテーマは「誤報」。ネットニュースの登場で危機に瀕しているレガシー・メディアの内実を鋭く抉る、問題作。

(講談社 1550円+税)


【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    木村拓哉の千葉支援に重なる“解散から10年”SMAPの絆 義援金2000万円を届けた行動力

  2. 2

    (6)甲斐拓也が松井巨人に“切られた”本当の理由…成績低迷に加え「福岡帰省連発」でもヒンシュク買っていた

  3. 3

    申ジエを見ていて苛立った…国内ツアーは「スロープレー」の撲滅をそろそろ啓蒙するべきだ

  4. 4

    (1)松井秀喜監督で“淘汰される選手” 「確率が高いものを大切に。守備走塁は100%」の真意

  5. 5

    テニス部キャプテンを務めた“スポーツマン”日村勇紀と“お嬢様”神田愛花が歩んだキャリア

  1. 6

    (5)松井監督が自覚する「優柔不断」…高橋由伸ヘッドコーチも“同類”という懸念

  2. 7

    「VIVANTに出てるんだから口閉じろ」…キムラ緑子の高市首相批判に噛みつくSNSの異常と低レベル

  3. 8

    中日一軍打撃コーチ就任の所信表明 キャンプで真っ先に「変えたいこと」がある

  4. 9

    阪神・藤川監督に「裸の王様」の懸念 選手&スタッフを驚愕させた「コーチいびり」

  5. 10

    米球界挑戦の横浜・織田翔希は間違いなく巨人入りに翻意する 松井監督誕生で見えた“説得の筋書き”

おすすめ求人情報

コールセンタースタッフ/未経験歓迎/土日休み/自分らしく働ける
株式会社グラスト 東京都 新宿区 正社員
月給21万円~32万円
金属製品の製造/月収34万円/年休120日/日勤のみ/社宅あり/50代活躍中
UTグループ株式会社 京都府 福知山市 正社員
月給29万8,000円
未経験歓迎/不動産仲介の一般事務/残業少なめ/年休120日以上
株式会社チンタイバンク 長野県 塩尻市 正社員
月給19万5,000円~22万7,000円
内装設計/CADオペレーター/大手ディスプレイデザイン会社/VectorWorks
株式会社スタッフサービス 東京都 中央区 正社員
月給23万5,000円~
Sponsored by 求人ボックス