「フーガはユーガ」伊坂幸太郎著

公開日: 更新日:

 主人公は、常盤優我と風我という双子の兄弟。2人には他人にはなかなか理解してもらえない重大な秘密があった。それは誕生日の決まった時間になると、なぜか2人が入れ替わってしまうこと。小学生のときに異変に気づき、当日はなるべく同じ服を着る、その時刻にはトイレの個室など人目につきにくい場所にいるなどの約束をしていたのだが、ある盗撮映像に入れ替わりの瞬間が撮影されてしまい、不審に思ったテレビ番組のディレクター・高杉が優我に連絡をとってきた。事情を聴かせてほしいという高杉に対して、優我はファミリーレストランの中で今までのいきさつを話し始めるのだが……。

「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューして以来、「ゴールデンスランバー」「AX アックス」などのヒット作を連発してきた著者の最新作。暴力的な父親と頼りない母親の下に生まれながらも、お互い支え合いながらサバイバルしてきた双子の兄弟が、入れ替わりを武器に理不尽な事件に立ち向かう。

 読み進めるうちに、伏線が随所に用意されていたことに驚かされること必至。

(実業之日本社 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾