「フーガはユーガ」伊坂幸太郎著

公開日: 更新日:

 主人公は、常盤優我と風我という双子の兄弟。2人には他人にはなかなか理解してもらえない重大な秘密があった。それは誕生日の決まった時間になると、なぜか2人が入れ替わってしまうこと。小学生のときに異変に気づき、当日はなるべく同じ服を着る、その時刻にはトイレの個室など人目につきにくい場所にいるなどの約束をしていたのだが、ある盗撮映像に入れ替わりの瞬間が撮影されてしまい、不審に思ったテレビ番組のディレクター・高杉が優我に連絡をとってきた。事情を聴かせてほしいという高杉に対して、優我はファミリーレストランの中で今までのいきさつを話し始めるのだが……。

「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューして以来、「ゴールデンスランバー」「AX アックス」などのヒット作を連発してきた著者の最新作。暴力的な父親と頼りない母親の下に生まれながらも、お互い支え合いながらサバイバルしてきた双子の兄弟が、入れ替わりを武器に理不尽な事件に立ち向かう。

 読み進めるうちに、伏線が随所に用意されていたことに驚かされること必至。

(実業之日本社 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー