「麻原彰晃の誕生」髙山文彦著
犯罪教団「オウム真理教」を生み出し、率いた麻原彰晃、本名・松本智津夫の人生をたどる伝記。
1955年、熊本県八代郡金剛村で9人きょうだいの7番目に生まれた智津夫は、生まれながらに左目がほとんど見えず、右目も先天性緑内障などの兆候があった。そのため、同じ病の長兄が通う県立盲学校に入れられ、寄宿舎生活を送ることに。幼い智津夫は、そのことを生涯、親に捨てられたと感じていた。教師らによると、当時から人の上に立ちたいという名誉欲が人一倍強い生徒だったという。20歳まで同校で過ごした彼は、やがて東大法学部に入り政治家になると吹聴して上京、予備校で出会った知子と結婚する。やがて、船橋で開業した鍼灸院に、若者が集まるようになる……。
(新潮社 490円+税)