「大人の『読む力』」 対崎正宏著
文章を読む時には、前の段落からの意味の流れを掴むことが必要だ。例えば「〈前略〉松方幸次郎が、大規模な労働争議を集結させるために、それまでの1日10時間労働を賃金は変えずに8時間に改めた。(改行)従業員たちは歓呼した。引き続き10時間働けば残業代が別にもらえたからだ」という文を読む。
従業員たちが歓呼したのは、賃金は変えずに8時間労働になったからだ。前半の「8時間に改めた」までは松方が主体で、彼の思惑、心情を生かす書き方だが、後半は従業員たちが主体で、彼らの心情などが生きた書き方になっている。
思考力をつける読み方を、具体例でわかりやすく説明した本。
(日本実業出版社 1400円+税)