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読書通の本の読み方特集

「死ぬほど読書」丹羽宇一郎著

 本を愛する愛読家たちがどんなふうに本を読み解いているのか。その手のうちを明かしてくれるのが、本を愛する人のための読書本だ。今回は、あなたの読書中毒をさらに加速させる読書本5冊をご紹介!



 ネットの言論が世を席巻して、本を読まない人が増えている昨今、読書なんて時間の無駄だと切り捨てる若者が増えている。しかし、情報拡散力の高いネット社会の今だからこそ、再び本の価値が再発見されると予言しているのが本書。

 というのも、米国大統領選でのフェイクニュース、DeNAのキュレーションサイトの薬機法違反問題などの例もあるように、ネット情報の信憑性は大きく揺らいでいるからだ。その点、書き手が明確な本は信頼性において群を抜いている。

 しかし、有名な著者だからといって必ずしも価値ある本とは限らず、そこには一定の選択眼が必要になってくる。情報のクオリティーを見抜き、読むべき本とそうでない本をどう選別するか。どんな読み方をすれば能動的に本を読めるのか。自身の体験をもとに解説する。

 伊藤忠商事で活躍した経歴を持つ著者ならではの読書の実用的な効能に、読書欲をかきたてられるビジネスマンが続出しそうだ。

(幻冬舎 780円+税)

「名作なんか、こわくない」柚木麻子著

 世界に名だたる小説は数あれど、タイトルを知っているだけで実はまともに読んでいない名作も多いはず。本書は、そんな世界の名作をぐっと身近なところまで引き寄せて解説する小説版「世界名作劇場」だ。オール讀物新人賞と山本周五郎賞を受賞した著者が、フランス、日本、イギリス、アメリカの計57編の名作の、自分なりの読み方を紹介していく。

 たとえば、かの有名なハーマン・メルヴィルの「白鯨」編では、自分の片足をもぎとった白鯨への復讐に燃えるエイハブ船長を、絶対上司にしたくないタイプと断言。超個人的な復讐劇に乗組員全員を巻き込むモンスターとして主人公像を描いてみせる。

 さらに膨大なページ数にめげそうな読者に向けて、随所に差し込まれる鯨豆知識は捕鯨船に乗船した経験のある作者ならではの「さかなクン」的な説明なのだと解説しながら、最後に登場する白鯨のシーンまで上手に読者を誘う。

 ほかにも「赤と黒」「日の名残り」「おはん」などの有名どころをあまさず紹介。本好き女子のおしゃべりを盗み聞きしてしまったかのような読後感も悪くない。

(PHP研究所 1600円+税)

「楽な読書」古屋美登里著

 大学を休学して「毎日、1日1冊読む」というノルマを自らに課し、現在は翻訳家となった本の猛者である著者による、読み応えたっぷりの書評エッセー本。シンコーミュージックが発行している音楽誌「BURRN!」に掲載している書評が評判となり、それをまとめた初の著作「雑な読書」が昨年刊行されたが、本書はその続編となる。

 興味深いのは、一冊の本の書評が他の本の記憶を呼び覚ましたり、今の世情と似た何かを発見したりする、著者自身の発見に読み手が立ち会えるところだ。たとえば、中国の作家・閻連科の「年月日」という本については、この本がリャマサーレスの「黄色い雨」を連想させることを指摘しつつ、村にひとり取り残された老人の命の限界への挑戦というテーマに焦点を当てる。

 国境を超える翻訳家ならではの視点で、地球上の本を読みつくさんばかりの読書欲に圧倒されること必至。なめつくすように本を深く読む楽しみが伝わってくる。

(シンコーミュージック・エンタテイメント 1500円+税)

「BOOK BAR お好みの本、あります。」杏&大倉眞一郎著

 本好きが集まるバーに行って、酒を片手に一冊の本について男女が気軽に語り合う。そんなぜいたくな時間を紙面で再現しているのが、この本。10年間続くJ―WAVEの人気番組「BOOK BAR」で、女優の杏とクリエーティブディレクターの大倉が紹介した約1000冊から、厳選した50冊の本から広がる2人のトークを楽しめる。

 たとえば歴史好きの杏は、ほとんど知られていないヒーローを描いた磯田道史の「無私の日本人」を紹介。大倉は、未知の人物のエピソードにびっくりしながら耳を傾ける。かと思えば、杏より約30歳年上の大倉は西川美和の「永い言い訳」を、「人生、取り返しのつかないことばかりという本」と言い、泣きながら読んだと告白しつつ、結婚生活をスタートさせた杏と、夫婦の会話について話し合っていく。

 世代の違う男女が、本を介して互いに新たな世界を発見しあう。

 そんなBARの扉を、本好きなら誰でも開けてみたくなるはずだ。

(新潮社 1500円+税)

「本好き女子のお悩み相談室」南陀楼綾繁著

 人には言えない悩みを抱えたとき、ふらりと本屋に立ち寄って手に取った本の中に悩み解決のヒントとなる一行を見つけた経験をしたことはないだろうか。

 どんなに孤独なときにも人に寄り添う「本」という存在は、どうやら悩みを抱えた人たちと相性がいいらしい。

 本書は、全国各地で好きな古本をひと箱に詰めて売る、いわゆる「本屋さんごっこ」をしている本好き女子に、読書歴を聞きつつも彼女たちの悩みごとに合った本を3冊処方するという趣向のお悩みブックガイド。

 たとえば、「価値観が異なる人とどうやって付き合っていけばいいか」と悩む埼玉の30代女子には、速水健朗ほかの「バンド臨終図巻」(河出書房新社)と、須賀しのぶの「神の棘」(新潮文庫)と山本周五郎の「さぶ」(新潮社)をセレクト。いわゆる「音楽性の違い」を理由に解散するバンドが再結成する過程から、価値観の違いを乗り越えるヒントを提示するなど、意表をついた提案が面白い。

(筑摩書房 780円+税)


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