「文豪お墓まいり記」山崎ナオコーラ著

公開日: 更新日:

 山崎は小学生の頃、教会の日曜学校に通っていたが、大人になってからは教会と疎遠になっていた。だが、流産や父の死などを経験して何かを信じたくなり、近くの教会の日曜礼拝に出るようになった。以前、遠藤周作の墓があったカトリック府中墓地は、自宅から歩いて行ける場所だったので、母親と2人で出掛けた。キリスト教式の墓のためか線香立てがないので、花だけ生けた。遠藤の「沈黙」には、心の弱いキチジローが、自分に苦しみを与えた神に、「なぜ」と問う場面がある。その問いに答えがなくても、何かを信じようとする行為に、山崎はほの明るい光を感じた。(「遠藤周作」)

 永井荷風や星新一ら26人の作家の墓に参って感じたことをつづる、お散歩エッセー。

(文藝春秋 1550円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘