「グッドバイ」朝井まかて著

公開日: 更新日:

 主人公は、幕末の長崎で菜種油を商う大浦屋の女主人・お希以。幼いときに母を亡くし、入り婿の父親とその後来た新しい母に育てられていたが、12歳のときに大黒柱だった祖父も亡くしてしまう。その後起きた大火事で父と母が失踪し、たったひとり残されてしまったため、姉のお多恵の嫁ぎ先に身を寄せながら、番頭の弥右衛門と共に大浦屋を立て直したという経歴の持ち主だ。

 当初家を継ぐために婿を迎えたものの、祝言を挙げて間もなく甲斐性なしだと見抜いて即離縁。女手ひとつで店を守ってきたのだ。あるとき、イギリスで茶葉が不足しているということを聞きつけ、お希以は今まで男たちがつくってきた商いのしがらみを打破すべく動きだすが……。

 2008年に小説現代長編新人賞を受賞しデビューして以来、直木賞や司馬遼太郎賞などを総なめにしてきた実力派の著者の最新作。本書は、幕末から明治にかけて世界を相手に商いをした大浦慶の生涯を描いた歴史小説だ。

 日本茶貿易の先駆者として財を成し、坂本龍馬や岩崎弥太郎とも交流があったとされる女商人の波瀾万丈の人生をダイナミックに描いている。

(朝日新聞出版 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  2. 2

    萩本欽一(11)ひとりぼっち寂しく貧乏飯を食べながら「先生も同級生もバカだな」と思うことにした

  3. 3

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  4. 4

    あのちゃん追い風だった女優業に暗雲の炎上!「嫌いな芸能人」発言で反撃される痛恨

  5. 5

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  1. 6

    医学部に進学した息子のために老後破産したエリートサラリーマンの懺悔

  2. 7

    初期ビートルズの代名詞のような2曲の、まるっきり新しかったポップさ、キュートさ、叫びっぷり

  3. 8

    混戦制した河本結の"自己中プレー"に中継解説者が苦言…人気女子プロに問われるモラルとマナー

  4. 9

    田中将大が楽天を去った本当の理由…退団から巨人移籍までに俺とした“3度の電話”の中身

  5. 10

    ますます劣化する高市官邸…ポテチパッケージ白黒変更を「カルビーの売名行為」と幹部暴言しSNS大炎上