「桃源」黒川博行著

公開日: 更新日:

 新垣遼太郎は、大阪府警泉尾署刑事課捜査2係の刑事。メンバーで金を出し合い助け合う沖縄の互助組織・模合の金を持ち逃げした解体会社社長の比嘉慶章の行方を追うため、上坂勤とコンビを組んで捜査を開始した。

 比嘉が沖縄にいるらしいという情報をつかみ、追いかけた2人がたどり着いたのは、沖縄近海に沈んだ中国船から美術品を引き揚げるという怪しげな出資詐欺事件。比嘉はいったいどこに消えたのか。事件の真相を追って、2人は那覇、石垣島、宮古島など南西諸島を駆け回るのだが……。

 第1回サントリーミステリー大賞佳作を受賞した「二度のお別れ」でデビューして以来、1996年に「カウント・プラン」で第49回日本推理作家協会賞、2014年に「破門」で第151回直木賞を受賞するなど、人気・実力共に評価の高い著者の警察推理小説。

 本作では、南西諸島で展開するトレジャーハント事件に挑む、新垣・上坂コンビの活躍ぶりが読みどころ。せっかくの沖縄で捜査ついでに観光も楽しみたい映画マニアの上坂と、愚痴をこぼしつつ精力的に働いてしまう新垣の丁々発止のやりとりが楽しい。

(集英社 2000円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ