「カエルの小指」道尾秀介著

公開日: 更新日:

 阿部寛、石原さとみ、能年玲奈らで映画化され評判になった「カラスの親指」の続編。詐欺師のタケこと武沢竹夫が掏摸で一家を支えている少女まひろらと、ヤミ金業者に一世一代のペテンを仕掛けてから十数年後。実演販売で身すぎをしている武沢がホームセンターでジューサーを売っていると、キョウという中学生が弟子入りを志願してきた。

 事情を聴くと、キョウの母親が詐欺師に騙されて両親の会社が倒産、悲観した彼女はビルから飛び降りた。その詐欺師ナガミネを捜す探偵料を稼ぐために、テレビの天才キッズコンテストで実演販売を披露して優勝し、賞金を獲得したいという。

 武沢はキョウに特訓を施すとともに、かつての詐欺仲間、まひろ、その姉のやひろ、やひろの夫の貫太郎、そして、やひろ夫妻の息子で小学生ながらITに詳しいテツも加え、ナガミネに一杯食わせるべく大がかりなペテンを仕掛けるのだが、キョウの復讐には意外な秘密が隠されていた――。

 前作同様、幾重にも仕組まれた仕掛けが最後に見事に収束し、カタルシスをもたらしてくれる。

(講談社 1700円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか