「『帝国』ロシアの地政学」小泉悠著

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 中国と並ぶ新興大国といえばロシア。しかしソ連崩壊後のロシアは自国を統合するアイデンティティーの欠如に苦しんできた。西は欧州、東は極東におよぶロシアは宗教も民族も多様。しかし共産主義時代のような統一理念がないのだ。

 ロシアの安全保障問題を専門とする著者は、ナチ時代のドイツからきた地政学の発想がロシアに見られるところに注目。周囲の旧ソ連諸国を思いのままコントロールする「帝国志向」は神話に過ぎないものの、プーチン大統領は軍事的・政治的に他国に依存しない自己決定権を保持する国だけを「主権国家」と認める特異な世界観を持っている。

 その観点からドイツを「主権国家ではない」というプーチン。自前で核兵器を保有せず、同盟国に軍事的に守ってもらうだけの国は「主権」がないという意味だ。

 とすれば日米軍事同盟下の日本も同じ。対ロ外交はよくよく心しなければ手玉に取られるだけということだ。

(東京堂出版 2400円+税)

【連載】本で読み解く激動の世界情勢の行方

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