「地形の思想史」原武史著

公開日: 更新日:

 村上春樹の「1Q84」には、奥多摩から山梨県にかけての地域が、1960年代から70年代の新左翼の活動の拠点として描かれている。八王子市とあきる野市の境にある小峰峠を抜けると五日市町だが、五日市町は明治初期には多摩地区の自由民権運動の中心地だった。その背景には、五日市町が外国交易の玄関口、横浜と街道でつながっているという地理的条件がある。この地で教員、千葉卓三郎が1881年に「日本帝国憲法(五日市憲法)」を起草したという。その草案に書かれた基本的人権の尊重や言論の自由などは、1946年公布の「日本国憲法」に受け継がれた。

 地形という視点から日本の「思想」を考えるユニークな一冊。

(KADOKAWA 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  4. 4

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 5

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 7

    中川翔子「Switch2転売購入疑惑」を否定も火に油…過去の海賊版グッズ着用報道、ダブスタ癖もアダに

  3. 8

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 9

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る