「殺人都市川崎」浦賀和宏著
高校入学を控えた赤星は、交際中の七海に誘われ大師公園の瀋秀園を散歩する。七海は赤星の前の恋人・愛の友人だった。愛は家族と共に川崎市民の誰もが願う夢をかなえ、市外に引っ越してしまったのだ。
七海によると、中学時代の担任の美咲がこの回遊庭園で奈良邦彦の姿を目撃したらしい。奈良は20年前に起きた後藤家殺人事件の犯人で今も行方が分からない伝説の殺人鬼だった。美咲が後藤家の唯一の生き残りだと聞いた赤星は、彼女と奈良が共犯だったのではと疑う。
話の最中、奈良が現れ、赤星の目の前で管理事務所の職員と七海が殺されてしまう。平間寺に逃げ込んだ赤星は、間一髪難を逃れる。新聞で事件を知った愛は、赤星に会いに川崎に向かう。
今年2月に41歳の若さで急逝した著者の遺作。
(角川春樹事務所 640円+税)