「つりが好き」井伏鱒二他著

公開日: 更新日:

 イイダコ釣りは技術が要る。餌は不要で、ネギの白身、茶碗のかけらなど、なんでもいいから白いものを細い板にくくりつけ、内側にまくれたかぎ針を3本取り付ける。おもりを付けて沈めておくと、イイダコがその白いものの上に座る。手応えがあったら糸を引くと、かぎに引っかかってあがってくる。引きどきを誤ると逃がしてしまうから腕が要るのだ。

 友人の宇野逸夫の故郷では、イイダコは赤い色のもので釣るという。宇野は隠岐の島出身だから、太平洋のタコは白好きで、日本海のタコは赤好きなのか。(火野葦平著「ゲテ魚好き」)

 ほかに、幸田文「鱸」、矢口高雄「二重の呪文」など、釣りと釣り人に関わる面白い話がてんこ盛り。

(河出書房新社 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因