「植物園の世紀」川島昭夫著
植物園というと恋人や家族と訪れる場所のようなイメージがあるが、18世紀以降のイギリスの植民地政策で植物園は重要な役割を果たしていた。 アジアでコショウなどを買い付けていたヨーロッパ各国が、やがて熱帯植民地を持つようになり、イギリスは中国原産の茶をインドやセイロンに移植し、一大生産地をつくった。
そのため、植物の輸送法、栽培法、加工法が研究され、植民地植物園ではシナモン、マンゴー、バニラなどが栽培され、イギリスのキュー植物園などを核として、植民地をつなぐネットワークが形成された。ヨーロッパの重商主義の基底には、熱帯植物への欲望があったのだ。
植物園がグローバル経済に果たした役割を解明する。
(共和国 2800円+税)