「白蟻女」赤松利市著

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 古希を目前にして夫が死んだ。通夜の夜、恵子は薄暗がりに白装束の夫が立っているのに気づいた。その背後から、白装束の女が「奥さん」と声をかけた。恵子の記憶の引き出しがカタカタ鳴った。

 白蟻女……。40年近く前、この女は恵子の家に上がり込んで、「一緒になれないんだったら死んでやる」と、白蟻の駆除剤を呷(あお)って自殺したのだ。

 白蟻女は夫との間にたった3カ月の思い出しかないのに、恵子には50年近い思い出があるのが納得できない。「思い出をめちゃめちゃにしてやる」と言うと、白蟻女は粒子になって恵子の中に流れ込んだ。

 気がつくと、恵子は新婚旅行の日に戻っていた。

 家族の死をめぐる2編の心温まる物語。

(光文社 1500円+税)

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