「降るがいい」佐々木譲著

公開日: 更新日:

 携帯電話にショートメールで清水真知子の訃報が届いた。差出人の「中西浩也」という名には記憶があった。葬儀は既に終わっていて、「配偶者として」密葬にしたという。真知子はいつもダメな男に引かれがちで、以前の離婚の原因もDVだと言っていた。わたしはメールで連絡して中西に会った。中西は真知子をずっと介護していて、彼女が覚悟したとき、入籍したと言った。中西は別れ際に、わたしと真知子は本当に業界が一緒だと言うだけの仲だったのか確認して帰った。その点ではわたしは隠し事はしなかったが、真知子が中西について言ったことは、言わなかった。(「隠したこと」)

 人の心に隠された小さな「真実」を描く13編の短編。

(河出書房新社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」