「DNA再起動 人生を変える最高の食事法」シャロン・モアレム著 中里京子訳

公開日: 更新日:

 炭水化物抜きダイエットをやったことがある人は少なくないだろう。しかし、成果が出る人もいるが、思った以上に痩せないという人もいる。逆に、炭水化物を3食しっかりと食べた方が痩せるという人もいる。いったい何が本当なのか。

 医師である著者は、誰にも等しく効果をもたらすダイエット法など存在せず、その鍵を握るのは遺伝子であると解説。遺伝学や栄養学の知識を融合し、DNAに合わせて行う食事法について紹介している。

 私たちの唾液の中にはアミラーゼという酵素が含まれ、でんぷん分子を切り刻んで麦芽糖に変える働きをしている。しかし、唾液中に含まれるアミラーゼの量はすべての人が同じというわけではない。両親から受け継いだ、アミラーゼをつくるAMY1遺伝子のコピーが多い人ほど、アミラーゼの量が多いのだという。

 アミラーゼが多い人の場合、炭水化物を大量摂取すると同時に大量の麦芽糖が作られるため、血糖値が急上昇して肥満につながるのだろうか。実は全く逆で、AMY1遺伝子のコピーが多く唾液にアミラーゼが大量に含まれる人ほど、糖が押し寄せることを体が予測していて、より早く、多くインスリンが分泌されていることがアメリカの研究で分かっている。そして、AMY1遺伝子のコピーが多い人ほど血糖値が低く肥満になりにくく、コピーが少ない人ほど肥満になりやすいことが判明しているという。

 本書では、無塩のクラッカーを噛みしだき味が変わる時間を計ることで分かる、AMY1遺伝子の診断テストを紹介。DNAのタイプ別に適した1日の炭水化物摂取量などが示されている。巻末には、おすすめの献立も掲載。健康やダイエットの成果を高めたいなら、DNAに合う食事法が不可欠なのだ。

(ダイヤモンド社 1800円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景