「室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる」笹井恵里子著

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「STAY HOME」の合言葉のもと、例年以上に家にこもって過ごすことが増えそうな今年の冬。健康管理のために食事に気を使ったり、運動不足解消を心掛ける必要があるが、もうひとつ気をつけたいのが、室温の管理であると本書は警告している。

 自宅の居間や寝室の室温を知るために、温度計を置いているという人はどのくらいいるだろう。寒く感じれば暖房をつけるし、節約したいなら着込んで調節するから温度計など必要ないという人もいるかもしれない。しかし、冬の日本の住宅は意外と寒い。国土交通省の調査では、居間16・8度、寝室12・8度、脱衣所13・0度という結果が出ている。

 一方、WHOが策定した「住宅と健康に関するガイドライン」によると、冬の最低室温は18度とされている。これより低いと体にさまざまな悪影響を及ぼし、16度未満では呼吸器系疾患に影響があり、9~12度では血圧・心血管疾患リスク上昇と警告されているのだ。

 また、米国心臓協会が監修する高血圧国際医学誌「Hypertension」によると、室温20度の寝室で起床したときと比べて、10度の寝室で起床した場合、80代男性は血圧が10・2、女性では11・6も上昇することが分かったのだという。これは、血圧にとって絶対悪ともいわれる塩分の過剰摂取や喫煙習慣による影響よりも遥かに高い数値だ。

 ほかにも、脳神経の老化や呼吸器症状の悪化、睡眠の質の低下、そして仕事への集中力の低下など、寒い部屋で過ごすことによる弊害を解説する本書。窓側に暖房器具を置く、カーテンと床の隙間をクッションで埋める隙間風対策など、暖かい家にするためにできる簡単な工夫も紹介している。健康を守りたいなら、部屋は暖かく、である。

(光文社 780円+税)

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