「文豪の凄い語彙力」山口謠司著

公開日: 更新日:

「億劫」と「大儀」は、どちらも「面倒さ」を表す言葉だが、それぞれ違うニュアンスが隠されている。本来は仏教用語で、「はるかに長い時間」を意味する「億劫」は「時間がかかる」に、一方の「大儀」は大きな儀式を意味することから、「たくさんの物事の調整」に、そのどちらに主軸があるかによって使い分けられるという。このように一つ一つを吟味して使用する文豪の語彙は、言葉で読者を説得する力を持っている。そんな文豪たちの使う言葉を取り上げ、読み解く文学エッセー。

 芥川龍之介の「或日の大石内蔵助」に出てくる「的皪(てきれき)」=「白く鮮明なさま、光り輝くさま」、吉川英治が「三国志」で用いた「秀雅(しゅうが)」=「秀でて雅であること」など、63作家の語彙に日本語の豊かさを学ぶ。

(新潮社 605円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択