「サリエルの命題」楡周平著

公開日: 更新日:

 笠井は、厚生労働省の直轄機関・東アジアウイルス研究センターから派遣され、アメリカの疾病対策センター(CDC)でインフルエンザウイルスを研究していた。しかし、名誉理事長に就任した八重樫の意向で帰国を命じられる。

 同じ頃、引退した野原は、世界中のウイルス研究者が情報交換を行うサイトで「サリエル」と題された投稿を見つける。それは人工ウイルスの研究データだった。

 数カ月後、日本海に浮かぶ黒川島で新型インフルエンザが発生し、島民全員が死亡。パンデミックを警戒する政府内では、数に限りがある治療薬やプレパンデミックワクチンの使用にどのように優先順位をつけるか激論が交わされる。

 新型コロナウイルスの出現を予測していたかのように、日本の弱点を突いた社会派ミステリー。

(講談社 1089円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑