「サリエルの命題」楡周平著

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 笠井は、厚生労働省の直轄機関・東アジアウイルス研究センターから派遣され、アメリカの疾病対策センター(CDC)でインフルエンザウイルスを研究していた。しかし、名誉理事長に就任した八重樫の意向で帰国を命じられる。

 同じ頃、引退した野原は、世界中のウイルス研究者が情報交換を行うサイトで「サリエル」と題された投稿を見つける。それは人工ウイルスの研究データだった。

 数カ月後、日本海に浮かぶ黒川島で新型インフルエンザが発生し、島民全員が死亡。パンデミックを警戒する政府内では、数に限りがある治療薬やプレパンデミックワクチンの使用にどのように優先順位をつけるか激論が交わされる。

 新型コロナウイルスの出現を予測していたかのように、日本の弱点を突いた社会派ミステリー。

(講談社 1089円)

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