「インド残酷物語」池亀彩著

公開日: 更新日:

 インドで長年、フィールドワークを続けてきた著者によると、いまだに出自で差別され、貧富の差が激しいインドは残酷な国だという。

 さらにインド社会の内部格差や隔絶は、政治家によって宗教的対立へと置き換えられ、ヒンズー至上主義を標榜するナショナリズムが力を増しつつある。そんな過酷な社会で、たくましく生きる市井の人々の姿を通し、インドの現実を伝えるリポート。

 家族に反対され、駆け落ちしてダリト(旧不可触民とされるカースト)の恋人と結婚したが、親戚が雇った殺し屋による「名誉殺人」で夫を殺された女性、新築なのに水道が通っていない団地に住む知人、国家の法の外側で地域のもめ事を裁くグル(宗教リーダー)など。人々の人生からインドの今が垣間見える。

(集英社 968円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・梅村みずほ議員の“怖すぎる”言論弾圧…「西麻布の母」名乗るX匿名アカに訴訟チラつかせ口封じ

  2. 2

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  3. 3

    選挙3連敗でも「#辞めるな」拡大…石破政権に自民党9月人事&内閣改造で政権延命のウルトラC

  4. 4

    11歳差、バイセクシュアルを公言…二階堂ふみがカズレーザーにベタ惚れした理由

  5. 5

    最速158キロ健大高崎・石垣元気を独占直撃!「最も関心があるプロ球団はどこですか?」

  1. 6

    日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた

  2. 7

    「デビルマン」(全4巻)永井豪作

  3. 8

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  4. 9

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  5. 10

    キンプリ永瀬廉が大阪学芸高から日出高校に転校することになった家庭事情 大学は明治学院に進学