「世界でいちばん素敵な物理の教室」東京大学CAST文 滝川洋二監修

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 物体が熱くなったり冷たくなったりするのも、鳥が空を飛ぶのも、私たちの身の回りのすべてに物理学が関わっている。

 とは分かってはいるが、物理と聞いただけで、頭が勝手に拒否してしまう人も多いのでは? そんな人にこそ手に取ってもらいたいのが本書だ。

 物理学のファンを増やすために企画された本書は、科学を楽しく伝えたいという東大の現役学生によって執筆された。

「そもそも『物理学』ってなに?」という根本的な問いにはじまり、傘やレインコートが水をはじく仕組みなどの身の回りの現象から、電気やコンピューターはどうやって作られるのかといった身近でありながら知らない世界、そして地球内部の構造やブラックホールの存在がどのようにして分かったのか、さらにアインシュタインの「相対性理論」や「超ひも理論」などの難解理論の解説まで。シンプルなQ&Aを読み進めれば、物理学の基本のキが分かり、さらに知りたくなってくる構成になっている。

 シャボン玉が虹色になる「光の干渉」という現象を再現したり、微分干渉顕微鏡で観察した紅麹を食べるゾウリムシなどの美しい写真も多数収録。

 ちなみに「そもそも物理学ってなに」との問いのアンサーは、「自然現象を観察して法則性を見つけだす学問」だそう。

 そして地球内部の構造は、地震波の計測などによって明らかになったという。ではどうして地震から地球の中身が分かるのか、ほかにも地球内部の構造を調べる方法はあるのかなど、次々と質問を重ね簡潔に解説する。

 他にも、鳥はどうして飛べるのかという問いから発展し、飛行機が飛んだり、巨大な船が海に浮かぶ原理などを解説。高校で挫折して、苦手意識が先行していた物理が、がぜん面白く感じられるお薦め本だ。

(三才ブックス 1650円)

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