「逆転」野口卓著

公開日: 更新日:

 演出家の貝山は「ハムレット」でオフィーリアを演じる新人女優・花園かおること飲みながら、彼女の緊張をほぐそうとしていた。停電という設定の演劇のとき、かおるこだけがオーラを発しているように見えた。貝山がかおるこをオフィーリア役に抜擢すると、先輩や知人から嘲笑されたが、かおるこは絶対スターになると確信している。

 ところが当日、第1幕第1場が終わると、かおるこは蒼白になって「声が出ないんです」と訴えた。貝山が不安を抱えながら見ていると、かおるこは第4幕第5場で突然「柳の歌」を歌い出す。「オセロ」でデズデモーナが歌う歌だ!

 シェークスピアの4大悲劇を脇役がひっくり返すという意欲作4編。

(実業之日本社 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは