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 我が子、信康に切腹を命じ、時同じくしてその母で自らの正室であった築山の殺害も命じた家康。最愛の2人を死に至らしめなければならなかったその無念に迫る時代小説。

 弘治3(1557)年、元信(後の家康)は今川義元の重臣・関口親永の娘・瀬名をめとる。義元の姪でもある瀬名をめとることは、今川家に忠節を誓うことになる。それは承知の上で、瀬名の美しさに心を奪われた元信が、自ら望んだのだ。一方で、元信はいまは今川方に牛耳られている三河の地をこの手で取り戻すという密かな野望を抱いていた。

 初陣に勝利し元康と改名した翌年の永禄2(1559)年、瀬名との間に待望の嫡男・竹千代が誕生。翌年、今川が信長との戦いで死んだと知った元康は、織田勢との戦いを避けるため前線から岡崎に兵を移動させる。今川との絆を保つべきか、織田と和して三河を取り戻すべきか、松平家の運命は元康の決断にかかっている。気がかりは、駿府に残る瀬名と竹千代、その妹・亀姫のことだった。

(河出書房新社 1980円)

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