公開日: 更新日:

 我が子、信康に切腹を命じ、時同じくしてその母で自らの正室であった築山の殺害も命じた家康。最愛の2人を死に至らしめなければならなかったその無念に迫る時代小説。

 弘治3(1557)年、元信(後の家康)は今川義元の重臣・関口親永の娘・瀬名をめとる。義元の姪でもある瀬名をめとることは、今川家に忠節を誓うことになる。それは承知の上で、瀬名の美しさに心を奪われた元信が、自ら望んだのだ。一方で、元信はいまは今川方に牛耳られている三河の地をこの手で取り戻すという密かな野望を抱いていた。

 初陣に勝利し元康と改名した翌年の永禄2(1559)年、瀬名との間に待望の嫡男・竹千代が誕生。翌年、今川が信長との戦いで死んだと知った元康は、織田勢との戦いを避けるため前線から岡崎に兵を移動させる。今川との絆を保つべきか、織田と和して三河を取り戻すべきか、松平家の運命は元康の決断にかかっている。気がかりは、駿府に残る瀬名と竹千代、その妹・亀姫のことだった。

(河出書房新社 1980円)

【連載】大河ドラマで注目!徳川家康がまるっと分かる本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  5. 5

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  1. 6

    元横綱白鵬が突然告白「皇帝の末裔」に角界一同“苦笑”のワケ…《本当だったらとっくに吹聴しています》

  2. 7

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  3. 8

    阿部巨人の貧打解消策はやっぱり助っ人補強…“ヤングジャイアンツと心中”の覚悟なし

  4. 9

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも