「家康はなぜ乱世の覇者となれたのか」安部龍太郎著

公開日: 更新日:

 戦国時代、多くの武将が戦いのなかで自己実現を図る中、唯一、本気で平和を求めていたのが家康だったと著者は言う。

 家康がなぜ戦国時代の最終的な勝者となったのか。世界史と照らし合わせながら戦国時代を読み解いた歴史読本。

 日本の戦国時代は世界的には大航海時代にあたり、くしくも家康が生まれたのは種子島に鉄砲が伝来したとされる年だ。戦国の日本が西欧文明と出合った象徴的な年でもある。大航海時代の世界との遭遇という大きな危機を迎えた16世紀の日本は、国政を転換する必要に迫られ、信長と秀吉により外国との貿易によって国富を増大させる「重商主義政策」と「中央集権政策」が強烈に推し進められた。しかし、秀吉の朝鮮出兵によって国が荒廃。関八州の再建を成功させた家康がとった政策が、国家運営の基礎を農業におく「農本主義政策」と「地方分権政策」だったという。

 戦国時代と当時の世界情勢を照らし合わせながら、家康の足跡をたどり、新たな戦国時代像を浮かび上がらせる。

(NHK出版 1540円)

【連載】大河ドラマで注目!徳川家康がまるっと分かる本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  5. 5

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  1. 6

    元横綱白鵬が突然告白「皇帝の末裔」に角界一同“苦笑”のワケ…《本当だったらとっくに吹聴しています》

  2. 7

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  3. 8

    阿部巨人の貧打解消策はやっぱり助っ人補強…“ヤングジャイアンツと心中”の覚悟なし

  4. 9

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも