「WHITE SPACE」ジュリエット・ファント著 三輪美矢子訳

公開日: 更新日:

 年の始めからアグレッシブに仕事に取り組もうと思っていたが、“もっとやろう”と自分を追い立てるほど生産性が低下しているように感じる。

 実は「過負荷」は人間にとっていいことなしだと本書。休息のないまま複雑な作業を続けると、脳の限られたリソースが使い果たされて認知の疲労が起こり、パフォーマンスが悪くなるそうだ。

 そこで必要なのが、作業の合間に「ホワイトスペース」という“あえて何もしない”時間をつくり出すこと。1~2分の短時間でよく、前頭葉の再編成と再活性化が促され、情報の処理速度が増して生産性や創造性がアップするという。

 ところが! さっそくやってみたらこれが意外と難しい。

 いざ“何もしない”と決めても、「あ、メール返さなきゃ」「あの書類シュレッダーにかけたいんだけどな」などなど、雑用がしたくてたまらなくなる。また、つい手がスマホに伸びてSNSやニュースを開きたくなり、とてもじゃないがホワイトスペースにならない。これほど自分が“忙しいこと”に支配されていたとは……。

 本書には、ホワイトスペースを習慣づけるコツも紹介されている。例えば、日光が顔にあたったら小休止するなどホワイトスペースと何かを関連付けて行う、食事をするときスマホやテレビを見ずに食べ切る、皿洗いなどの手作業をするとき空想にふけるなどだ。

 また、目の前の仕事の緊急性を精査し、実は急がなくてもよい仕事は思い切って棚上げするのもいい。これらを行ってみたところ、少しずつホワイトスペースをつくるのがうまくなってきた気がする。そして、休息のあとはより集中して仕事ができるようになったぞ。

 今年は“戦略的に休む”ことを大切にしよう。 〈浩〉

(東洋経済新報社 1870円)

【連載】毎日を面白くする やってみよう本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし