「WHITE SPACE」ジュリエット・ファント著 三輪美矢子訳

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 年の始めからアグレッシブに仕事に取り組もうと思っていたが、“もっとやろう”と自分を追い立てるほど生産性が低下しているように感じる。

 実は「過負荷」は人間にとっていいことなしだと本書。休息のないまま複雑な作業を続けると、脳の限られたリソースが使い果たされて認知の疲労が起こり、パフォーマンスが悪くなるそうだ。

 そこで必要なのが、作業の合間に「ホワイトスペース」という“あえて何もしない”時間をつくり出すこと。1~2分の短時間でよく、前頭葉の再編成と再活性化が促され、情報の処理速度が増して生産性や創造性がアップするという。

 ところが! さっそくやってみたらこれが意外と難しい。

 いざ“何もしない”と決めても、「あ、メール返さなきゃ」「あの書類シュレッダーにかけたいんだけどな」などなど、雑用がしたくてたまらなくなる。また、つい手がスマホに伸びてSNSやニュースを開きたくなり、とてもじゃないがホワイトスペースにならない。これほど自分が“忙しいこと”に支配されていたとは……。

 本書には、ホワイトスペースを習慣づけるコツも紹介されている。例えば、日光が顔にあたったら小休止するなどホワイトスペースと何かを関連付けて行う、食事をするときスマホやテレビを見ずに食べ切る、皿洗いなどの手作業をするとき空想にふけるなどだ。

 また、目の前の仕事の緊急性を精査し、実は急がなくてもよい仕事は思い切って棚上げするのもいい。これらを行ってみたところ、少しずつホワイトスペースをつくるのがうまくなってきた気がする。そして、休息のあとはより集中して仕事ができるようになったぞ。

 今年は“戦略的に休む”ことを大切にしよう。 〈浩〉

(東洋経済新報社 1870円)

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