「悪意の科学」サイモン・マッカシー=ジョーンズ著 プレシ南日子訳

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 ケルン大学のヴェルナー・ギュート教授は、最後通牒ゲームを考案した。

 ペアでプレーするゲームで、10ドルのうち、相手が提示する金額を受け入れるとその金額がもらえて、相手は残りの金額を受け取れる。例えば相手が8ドルで自分が2ドルを提示されたとき、2ドルを受け取るか、提案を拒否して自分も相手も何も受け取らないか、どちらかを選ぶ。このとき、約半数の人が、2ドルもらう提案を拒否した。

 人びとは自分が少額で相手が多額のお金をもらえるより、誰も何ももらえないことを選んだのだ。

 こういう悪意を持つ傾向に関わる要素がヒトのゲノムに組み込まれていることは間違いない。

 ヒトの悪意を分析し、コントロールすることを目指す、臨床心理学者の新しい人間観を紹介した一冊。

(インターシフト 2420円)

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