遺伝子科学から海外文学まで!心癒されるにゃんこ本特集

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「猫は毛色と模様で性格がわかる?」荒堀みのり、村山美穂監修

 愛らしい姿で、人間を魅了し続ける猫という生き物。甘え上手だったり、クールだったり、その気ままさに翻弄されている人もいるだろう。今回は、猫の遺伝子、猫と名作、猫と四字熟語など、思う存分猫を堪能できる猫本を5冊ご紹介!

  ◇  ◇  ◇

「猫は毛色と模様で性格がわかる?」荒堀みのり、村山美穂監修

 最近の猫研究では、毛色や模様に関して遺伝子レベルの解明が進んでいる。本書は京都大学の猫研究集団「CAMP-NYAN」の協力を得て、遺伝子を手掛かりに猫の外見や特徴から性格までを探る猫研究本。

 具体的には毛色を決めるW遺伝子、B遺伝子、O遺伝子などに、毛にしまを作るA遺伝子や毛色の濃さを決めるD遺伝子などが影響して、猫の毛色と模様は決まっていくらしい。

 日本に多い雑種猫から純血種に至るまで、活動性、飼い主への愛着と分離、攻撃性、社交性についての5つ星評価付き。やんちゃで太りやすい茶トラ、ツンデレのキジトラ、猫同士の社交性が抜群に高いアメリカンショートヘアなど、各種猫の性質を解説する。

 猫の見方や接し方がわかるので、すでに飼っている人はもちろん、これから飼いたい人にもおすすめだ。

(エクスナレッジ 1848円)


「名作には猫がいる」ジュディス・ロビンソン、スコット・パック著 駒木令訳

「名作には猫がいる」ジュディス・ロビンソン、スコット・パック著 駒木令訳

 古くから人々を魅了してやまない猫は、物語の世界にもたびたび顔を出している。ときにはかわいい存在として、ときには人を誘惑する怪しげな存在として、崇拝されたり、嫌われたりしながら常に猫は人とともにあった。

 本書は、有名な猫、古典の猫、詩の猫、児童文学の猫、しゃべる猫、作家とその猫、SFの猫、ノンフィクションの猫、英米文学以外の猫の計9章にわたって、文学全体に登場する猫を俯瞰し紹介したもの。

「長靴をはいた猫」や「吾輩は猫である」などのよく知られたものから、日本人にはなじみのない海外作品まで紹介されており、猫文学を極めたい人は巻末の索引をたどればその出典がわかる。

 村上春樹など猫とゆかりの深い作家についても言及しており、猫&文学好きにはたまらない一冊となっている。

(原書房 1980円)


「にゃんこ四字熟語辞典2」西川清史著

「にゃんこ四字熟語辞典2」西川清史著

 意味や漢字が曖昧になりがちな四字熟語に、かわいい猫の写真を組み合わせて四字熟語辞典を作ってみたらどうだろう--。本書はそんな著者の発想から生まれた、異色の四字熟語辞典の第2弾。「リビングに置いておいたら、子どもが四字熟語を全部覚えていました」という第1弾の読者の声に応えて、著者は続編を作るべく数万枚の猫の写真とにらめっこしながら四字熟語の新しい組み合わせを見いだした。

「自己陶酔」「人事不省」「乱暴狼藉」「犯行現場」などの言葉にどんな写真があてがわれているかは、開いてからのお楽しみ。猫好きの心をグッとつかんで、前作と合わせてシリーズ累計20万部を更新中。

 好きな猫を眺めながら四字熟語をインストールしようとする一石二鳥の魂胆に、まんまとハマってしまいそう。

(飛鳥新社 1540円)


「明日も一日きみを見てる」角田光代著

「明日も一日きみを見てる」角田光代著

 角田家で暮らす猫のトトは、アメリカンショートヘアの女の子。西原理恵子さん宅からやってきたトトとの暮らしは、ついに13年目に突入した。

 大震災や台風や地震、2020年からのパンデミック、さらにはウクライナ戦争まで勃発し、日々さまざまなことが起こるなか、飼い猫トトと過ごす時間はなぜか静かで幸せな時間だった。

 本書は猫と暮らす作家の何げない日常の中に見つける、その特別な幸せを書き留めたフォト&エッセー。トトのために一軒家に引っ越しした著者は、彼女が時々持ってくる戦利品の虫に悲鳴をあげたり、外猫たちとの攻防を心配したり、換毛期に起こる信じられないくらいの量の猫毛との闘いなどを繰り広げる。

 昨日も今日も明日も、猫と平穏に過ごすことを願う著者の言葉は温かくてとても優しい。

(KADOKAWA 1320円)


「黒猫を飼い始めた」講談社編

「黒猫を飼い始めた」講談社編

 会員制読書クラブMRC(メフィストリーダーズクラブ)で公開された作品の書籍版。「黒猫を飼い始めた」という最初の一文から始まるショートショートを、結城真一郎、辻真先、似鳥鶏らをはじめとする26人の作家が、自由な発想でストーリーを展開していく。

 原田ひ香の「ササミ」には、商店街の特売日に猫のためのササミを1キロ買う主人公が登場する。パートのおばさんの神林さんが主人公に、「猫のマミオは元気か」と尋ねながらササミを売るのだが、なぜか猫は主人公になつかず、神林さんも自分を別の人みたいと言い始めた。そこには主人公のある重大な事情があったのだが……。

 同じ最初の一文からどこに連れていかれるかは、それぞれの作家の腕次第。お好みの作家を探すつもりで読んでみるのも面白い。

(講談社 1705円)


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