「廃墟マニアックス!廃界本」中田薫編

公開日: 更新日:

「廃墟マニアックス!廃界本」中田薫編

 廃虚と化した建物だけでなく、廃れた道や商店街にアーケード、そして廃村など、その道の達人たちが、廃虚的世界=「廃界」を巡り案内してくれるビジュアルリポート。

 達人のひとり、星野藍氏が「世界で一番美しい発電所の廃墟」と太鼓判を押すのは「ケレンフェルド発電所」(ハンガリー)。星野氏は、100年以上も前に建てられたアールデコ様式のこの廃発電所をはじめ、事故を起こしたチェルノブイリ原発近くの街プリピャチに打ち捨てられた大きな観覧車や、アルメニアに残る巨大な噴水の廃虚、そしてソビエト時代の戦闘機「MiG-21」や軍用機スホーイ「Su-22」などが並ぶ「戦闘機の墓場」など、これまで訪ね歩いてきた旧共産圏の廃虚を紹介する。

 ほかにも那部亜弓氏による「廃ラブホテル」巡りや、沖縄の世界遺産「中城城跡」にかつて存在した巨大な廃虚「中城高原ホテル」(平成31年解体)や「廃墟の女王」とも呼ばれる神戸の「摩耶観光ホテル」、さらにブルガリアのバズルジャ山の山頂にある「共産党ホール」など、内外の有名な廃虚をドローンによって空撮する小林マサヒロ氏、さらに内外の廃坑道を巡るきよしろう氏や、畑のすみや草むらに打ち捨てられ朽ち果てた自動車を「草むらのヒーロー」=「草ヒロ」と呼んで訪ね歩く犯罪すれすれ氏、「廃便所」ハンターの雪村柚鈴氏ら、13人13様の廃界を案内。

 編者は「時代や社会に置き去りにされたもの、用済みのものは決してゴミではありません。そこには何らかの学びがあり、新たなる価値さえ有しています。その気づきを与えてくれるのが廃界人なのです」とつづる。

 一切の予断を持つことなく廃界の闇へと分け入っていく彼ら彼女らの熱量に圧倒される。

(大洋図書 2200円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状