「ロシアより愛をこめて」金平茂紀著

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「ロシアより愛をこめて」金平茂紀著

 1991年、著者はテレビ局の特派員としてモスクワに赴任。ソ連邦は、その秋から年末にむけて一気に瓦解する。本書は、激動のロシアで過ごした3年間の記録だ。

 赴任早々、街中でツィンガと呼ばれる浮浪児たちの集団に襲われた著者は、まだ小さな子どもたちが裸足で市民を襲う現実と社会主義という体制のギャップに戸惑いを感じる。市民は食料を求め行列をつくり、賄賂を要求する空港職員や、副業に家電を運搬する救急車など、社会主義の矛盾を市民生活の実感から伝える。

 一方で、ゴルバチョフ辞任当日の社会の動きなど現場で見聞きしたソ連崩壊のリアルなリポートや、30年後、ロシア侵攻直後に入国したウクライナやモスクワ滞在記も収録。

 報道では分からないロシアの人々の素顔を紹介。 (集英社 1056円)

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