金井真紀
著者のコラム一覧
金井真紀文筆家・イラストレーター

テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て2015年から文筆家・イラストレーター。著書に「世界はフムフムで満ちている」「パリのすてきなおじさん」「日本に住んでる世界のひと」など。

「地図でスッと頭に入るアフリカ 55の国と地域」昭文社出版編集部編、白戸圭一監修

公開日: 更新日:

「地図でスッと頭に入るアフリカ 55の国と地域」昭文社出版編集部編、白戸圭一監修

 先日、友人と「アフリカの国名を交互に挙げていく遊び」をして大いに盛り上がった。余裕綽々で「エジプト」カードを切る。相手が「スーダン」を投げてくれば「南スーダン」で返球する。「マダガスカル」が出てニヤリと笑う。でもその辺が限界で、あとは「南アの領土内に別の国あったよね?」「中公新書にさ、銀行を任された人のおもしろい本があったよね。あれどこだっけ?」と断片情報だけが去来して国名が全然思い出せないのだった。ちなみに前者はレソト、後者の中公新書は「ルワンダ中央銀行総裁日記」が正解である。

 中途半端な知識しかないのにアフリカが気になるわたしは、本書を見つけたとき思わず踊った。これぞ求めていた本だ! アフリカ55の国と地域が網羅され、基本的には1国1見開きの構成。その1見開きに表、写真、イラストを駆使して各国の情報がギュッと詰まっている。楽器、動物、料理、ミュージシャン、スポーツ選手、作家、歴史上の人物……。その幅の広さに感激するとともに、あまりにも知らないことだらけでなんだか顔がにやけてしまう。

 ちなみにこの本、帯のコピーがすごい。「世界が取り合う『投資先』アフリカの真実!」「援助から投資へ!」ってなんだか妙にギラついているのだ。列強の植民地になり、大国の食い物にされてきたアフリカの過去を思うと、ちょっとモヤモヤする。でもその投資家目線(?)の産業情報が載っているのも本書の大きな特徴だろう。野生動物や伝統工芸だけじゃないのだ、アフリカは。自分の中に巣くうステレオタイプなアフリカ像を蹴飛ばしてくれる一冊。

(昭文社 1980円)

【連載】金井真紀の本でフムフム…世界旅

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  5. 5
    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

  1. 6
    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

  2. 7
    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

  3. 8
    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

  4. 9
    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

  5. 10
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽