「うさんくさい 『啓発』の言葉」神戸郁人著

公開日: 更新日:

「うさんくさい 『啓発』の言葉」神戸郁人著

 企業の採用情報などに使われる人材を書き換えた「人財」という造語。「人財」の背景に流れる思想を調べると、現状維持をよしとせず、常に自分自身を更新し続けなければならないという、現代社会を覆う生きづらさとのつながりが浮かび上がってくる。著者は「人財」と呼びかける側と呼びかけられる側とが不均衡な形で結びついているのではないかと指摘する。

 このようにそれを用いる側の働きかけによって、言葉のあて先となる相手の心情を変化させようとする語句を「啓発ことば」と命名。「頑張る」を「顔晴る」、「仕事」を「志事」、「企業」を「輝業」、「最高」を「最幸」と書き換えるこうした啓発ことばを取り上げ、その影響力を各界の識者らとさまざまな視点から考察する。

(朝日新聞出版 957円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る