「うさんくさい 『啓発』の言葉」神戸郁人著

公開日: 更新日:

「うさんくさい 『啓発』の言葉」神戸郁人著

 企業の採用情報などに使われる人材を書き換えた「人財」という造語。「人財」の背景に流れる思想を調べると、現状維持をよしとせず、常に自分自身を更新し続けなければならないという、現代社会を覆う生きづらさとのつながりが浮かび上がってくる。著者は「人財」と呼びかける側と呼びかけられる側とが不均衡な形で結びついているのではないかと指摘する。

 このようにそれを用いる側の働きかけによって、言葉のあて先となる相手の心情を変化させようとする語句を「啓発ことば」と命名。「頑張る」を「顔晴る」、「仕事」を「志事」、「企業」を「輝業」、「最高」を「最幸」と書き換えるこうした啓発ことばを取り上げ、その影響力を各界の識者らとさまざまな視点から考察する。

(朝日新聞出版 957円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 4

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  5. 5

    狭まる維新包囲網…関西で「国保逃れ」追及の動き加速、年明けには永田町にも飛び火確実

  1. 6

    和久田麻由子アナNHK退職で桑子真帆アナ一強体制確立! 「フリー化」封印し局内で出世街道爆走へ

  2. 7

    松田聖子は「45周年」でも露出激減のナゾと現在地 26日にオールナイトニッポンGOLD出演で注目

  3. 8

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  4. 9

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 10

    実業家でタレントの宮崎麗果に脱税報道 妻と“成り金アピール”元EXILEの黒木啓司の現在と今後