「うさんくさい 『啓発』の言葉」神戸郁人著

公開日: 更新日:

「うさんくさい 『啓発』の言葉」神戸郁人著

 企業の採用情報などに使われる人材を書き換えた「人財」という造語。「人財」の背景に流れる思想を調べると、現状維持をよしとせず、常に自分自身を更新し続けなければならないという、現代社会を覆う生きづらさとのつながりが浮かび上がってくる。著者は「人財」と呼びかける側と呼びかけられる側とが不均衡な形で結びついているのではないかと指摘する。

 このようにそれを用いる側の働きかけによって、言葉のあて先となる相手の心情を変化させようとする語句を「啓発ことば」と命名。「頑張る」を「顔晴る」、「仕事」を「志事」、「企業」を「輝業」、「最高」を「最幸」と書き換えるこうした啓発ことばを取り上げ、その影響力を各界の識者らとさまざまな視点から考察する。

(朝日新聞出版 957円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    清原和博氏が巨人主催イベントに出演決定も…盟友・桑田真澄は球団と冷戦突入で「KK復活」は幻に

  2. 2

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  3. 3

    99年シーズン途中で極度の不振…典型的ゴマすりコーチとの闘争

  4. 4

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  5. 5

    日銀を脅し、税調を仕切り…タガが外れた経済対策21兆円は「ただのバラマキ」

  1. 6

    巨人今オフ大補強の本命はソフトB有原航平 オーナー「先発、外野手、クリーンアップ打てる外野手」発言の裏で虎視眈々

  2. 7

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 8

    林芳正総務相「政治とカネ」問題で狭まる包囲網…地方議員複数が名前出しコメントの大ダメージ

  4. 9

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  5. 10

    角界が懸念する史上初の「大関ゼロ危機」…安青錦の昇進にはかえって追い風に?