「さかさ星」貴志祐介著

公開日: 更新日:

「さかさ星」貴志祐介著

 物語は、日頃ユーチューブに動画をあげている中村亮太が、祖母の中村富士子からの頼みを受けて、彼女と一緒に祖母の実家・福森家に車で向かうところから始まる。車内には霊能者・賀茂禮子もおり、福森家で一家4人が人間離れした方法で惨殺される事件が起きたため、彼女にも調査を頼んだらしい。

 祖母から屋敷内部を映像で記録するようにと言われ、動画で視聴回数が稼げるのではという軽い気持ちで同行した亮太は、屋敷に着くなり次々と仕掛けられた呪物を見つける賀茂の言動に、疑いと恐れの気持ちの両方を感じ始める。賀茂は、結界を崩すような庭の樹木の不自然な植え替えや、日本刀や市松人形などをはじめとする数々の名宝に込められた呪詛を指摘。ついにはリフォーム時に大黒柱が上下さかさにされたことまで発見し、亮太は自分がとんでもない場所に足を踏み入れてしまったことを自覚する。果たして福森家にかけられた呪いを解くことはできるのか──。

「黒い家」「悪の教典」に続く暗黒ホラー巨編の最新作。600ページ超えの大ボリュームの中で巻き起こる怪奇現象に背筋が凍ること必至。

(KADOKAWA 2420円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い