「よりみち部落問題」角岡伸彦著

公開日: 更新日:

「よりみち部落問題」角岡伸彦著

 被差別部落に生まれ、新聞記者、そしてフリーライターとして部落問題を取材し続けてきた著者が、自らの体験を通して部落問題の歴史を振り返り解説するテキスト。

 小学校3年の春、学校で初めて自分たちが生まれたのは差別されてきた地域であることを教わり、以来、毎週行われる人権学習で部落について学ぶようになったという。

 賤民制は1871(明治4)年の解放令によってなくなるが、差別は残り、立ち上がった部落の人々によって部落解放運動が興り、1922(大正11)年に全国水平社が発足。各地で抗議運動が勃発し、著者の祖父も逮捕されたという。

 そうした自らの出自を足場にして、思考を重ねながらどう行動をしてきたのか丹念に描く。部落問題、そしてあらゆる差別を考えるための指南書。

(筑摩書房 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし