「娘に語るお父さんの戦記」水木しげる著

公開日: 更新日:

 妖怪漫画の巨匠による戦争体験記。

「お父さん」が21歳のとき、召集令状と書かれた赤い紙が届いた。鳥取の連隊に入営したお父さんは、ラッパ卒に配属されたが、練習してもラッパがうまく鳴らない。配置換えを願い出たら南方に送られることになってしまった。日露戦争に使われた、浮かんでいるのが奇跡というボロ船に乗せられ、たどりついたのはラバウルだった。

 以後、後続部隊は到着せず、いつまでも初年兵のお父さんは、毎日上官に殴られ続ける。ある日、送り込まれた最前線で味方が全滅。九死に一生を得て、何日もかけて部隊に戻ったが、爆撃で左手を失ってしまう。一方で野戦病院を抜け出しては、島民の部落に通い現地の暮らしに触れる。

 娘に語りかける優しい口調で凄惨な体験を伝える。

(河出書房新社 891円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁