「安倍宗任伝」平谷美樹著
「安倍宗任伝」平谷美樹著
奥州・平泉の対岸の衣川に住む安倍頼良は、蝦夷の反乱を抑えるため、朝廷から陸奥国奥六郡の司を任じられていた。かつては武力で鎮圧していたが、頼良の父は租税を減免することで反乱を抑えている。今までは不作を口実に朝廷に年貢を納めなかったが、頼良は、今年は豊作なので少しは納めようと、息子の宗任と相談していた。
ところが山間の集落から住民が消えたという知らせが届く。国領の磐井郡に無理やり連れていかれたらしい。陸奥守・藤原登任は安倍の勢力を恐れ、安倍が農民を取り戻しにきたら、それを反乱として安倍を討とうともくろんだのだ。
陸奥国を守って朝廷と戦った安倍宗任の生涯を描く歴史小説。
(実業之日本社 2530円)