「虎と十字架」平谷美樹著

公開日: 更新日:

「虎と十字架」平谷美樹著

 元和元(1615)年、陸奥国の南部信濃守利直は、カンボジアから徳川家康に贈られた虎2頭を拝領した。

 雄は乱菊丸、雌は牡丹丸と名づけられて城内で飼われていたが、ある日、それぞれの檻(おり)に老女と若い女の死体が投げ込まれた。その日は檻の扉が開かれていて、2頭の虎は外に逃げ出した。牡丹丸は利直の三男、重直に鉄砲で撃ち殺され、マタタビでおびきよせられた乱菊丸は投網で捕らえられた。

 拝領の虎なので檻の番人が切腹したが、徒(かち)目付の米内平四郎は、切腹のあと、首を切られたとき、番人が立っていたことを示す血の流れに気づいた。檻に投げ込まれた2つの遺体はキリシタンの女と判明したが、やがてその死体も消える。

 拝領の虎の脱走をめぐる時代ミステリー小説。

(実業之日本社 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    竹内結子さん、石原さとみに立ちはだかった女優35歳限界説

  2. 2

    「俺は帰る!」長嶋一茂“王様気取り”にテレビ業界から呆れ声…“親の七光だけで中身ナシ”の末路

  3. 3

    巨人・岡本和真がビビる「やっぱりあと1年待ってくれ」…最終盤に調子を上げてきたワケ

  4. 4

    沢口靖子はまさに“奇跡のアラ環”!「2025年で『60歳』のお美しい女性有名人」圧倒的1位の原点

  5. 5

    視聴率トップ「モーニングショー」山口真由氏に続き…女性コメンテーター2人も"同時卒業"の背景と今後

  1. 6

    米倉涼子の"体調問題"が各界に波紋…空白の1カ月間に一体何が? ドラマ降板情報も

  2. 7

    山口真由氏「妊娠・休養」報道で人気を証明 復帰後に約束された「最強コメンテーター」の道

  3. 8

    杉田かおるが財閥創業者の孫との離婚で語ったこと

  4. 9

    林芳正氏が自民党総裁選“台風の目に”…「2強」失速でまさかの決戦投票進出あるか

  5. 10

    叱責、鉄拳、罰金…試練の日々で星野監督よりも「怖かった人」