大量出没! クマの謎と対策に迫る本特集

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「山のクマ・街に来たクマ大出没の理由」つり人社書籍編集部編

 今年の漢字で「熊」が選出されるほど、クマ出没のニュースで騒然となった昨年。2026年に入ってからも、相変わらずクマ対策に戦々恐々だ。そこで今回は、クマの生態研究者、クマに9回襲われた経験者など、それぞれの視点から描いたクマ本を4冊ご紹介!

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「山のクマ・街に来たクマ大出没の理由」つり人社書籍編集部編

 釣りの専門出版社のつり人社では、2010年以降6冊ものクマ本を刊行してきた。当初、釣りで山に入る人に知っておいてもらう趣旨でクマと人の関係を追いかけてきたが、今やその出没地が人の生活圏にまで広がってきた。

 本書は、長年の蓄積を生かしつつ、クマ遭遇者のリアルな声を収録。クマ出没の多い東北・秋田の現場の声、渓流魚分布の探究者や山の恵みを求めて常時山に入っている料理人の声、釣りの最中のクマとの遭遇談などを豊富に集めている。海釣り施設にまでクマが出没した証言もあり、クマは山に出るものという今までの常識が通用しなくなっていることも分かる。

 最終章では釣り人にアンケートを行い、遭遇しないための工夫から万一遭遇してしまった時の対策まで、その具体策を現場の声から拾っている。 (つり人社 1980円)

「奥山を捨てたクマ」金井塚務著

「奥山を捨てたクマ」金井塚務著

 奥山に足を踏み入れることの多いフィールドワーカーは、クマはもちろん山から生き物が減ったことに気づいた。クマの大量出現とは言うが、クマの個体数は増えていないのではないか。著者は森林伐採や拡大造林、ダム事業など、人が山に対して行ったことが、森林の生態系を根本から変容させ、クマの分布のドーナツ化が起きた可能性があるという。

 本書は、クマ問題を人間社会と自然の相互作用の一側面としてとらえるべきだとして、多角的な視点から問題をとらえていく。奥山の動植物が減った結果、クマの生活を支えきれなくなり、クマは人がつくる作物や人工物に依存しなければいけない状況に追い込まれた。山が本来の生産力を回復すべく、自然破壊を進める人間社会が変容することこそが根本解決につながるのではないかと述べている。 (緑風出版 2420円)

「家に帰ったらクマがいた」米田一彦著

「家に帰ったらクマがいた」米田一彦著

 クマに3000回以上遭遇し、うち9回の襲撃から生還した経験を持つ著者は、長年、秋田県生活環境部自然保護課に勤務し、退職後はクマの研究家として主に西日本で活動してきた。本書は、特に本州のツキノワグマに詳しい著者による、ありのままのクマの姿を解説した書。

 たとえばガソリンやペンキはクマを引き寄せるのでペンキの缶に頭をつっこむクマがいたり、オスに子を殺されないために母子クマが幹線道路沿いに移動してきたりするらしい。

 クマの出現が相次ぐ今、ハンターによる駆除の必要性が大声で叫ばれがちだ。確かに共存の難しさはある。しかしとにかく駆除、とにかく保護と時々で対策を揺らす前に、日本でクマが森の守護神として存在してきたことを理解し、まずは本来のクマの姿を知ることが重要だと説いている。 (PHP研究所 1320円)

「クマは都心に現れるのか?」小池伸介著

「クマは都心に現れるのか?」小池伸介著

 昨今、人々は急速にクマへの恐怖心を高めているが、研究者から見ればクマは何も変わっていないという。本書は大量出没の理由を示した上で、感情論に陥らない共存方法を示した書だ。

 無人地域や耕作放棄地の増大、林業の衰退、ドングリの不作などにより人とクマとの間のバッファーが消滅し、クマが人間の生活圏に近づいた。学習能力も高く好奇心旺盛なため、人に近づいた方がいいことがあると覚えてしまうクマも。関東平野は山に囲まれているため河川敷沿いに移動すれば市街地に出現するのは容易で、イノシシやシカが出る立川や川崎市、多摩丘陵沿いのよみうりランド近くなどは今後クマが出現しても不思議ではないらしい。

 水害対策で防波堤を造るようにクマのゾーニングを公共事業化するなど、その場しのぎではない対策も提案している。 (扶桑社 1100円)

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